妻とAIの意外な関係

初めての投稿というものは誰でも次のような感情を抱くものだろう。


『たくさん読みに来てくれるかな?』


『何書けばいいんだろ~!!』


『ブログ公開とかなんか新しいことに挑戦!!ってカンジ!!』


『今日の晩御飯何かな・・・』

 


しかし、私はメニューを考える義務があるため晩御飯の内容は気にしているが、書くことは決まっている。


それは、『全世界でもっとも今旬な職業のひとつであるAIエンジニアに、私はなった!!今日!!この時!!』ということだ。


AIエンジニアというのは、米国などでは若者が目指す職業NO1!年収もオーヴァーワンミリオンダラー!女の子にもモテモテ!という職業だ(ソースなし)。そんな究極の職業に今日私はなったのだ。


ちなみにあなたも簡単にAIエンジニアになることができる。『hello world 出力』などとグーグル教授にお伺いを立てれば、広辞苑のページ数より多くの選択肢を示してくれる。運が良ければ数分で、悪くとも数分で、たいていの人がwindowsやエクセルに『hello world』と喋らせることができるだろう。
問題はその程度の矮小なスキルではAIエンジニアとして世間の需要を満たすことはできない。トヨタ自動車の部品調達部にトマトを売り込むようなものだ。

 

さて、名乗ることだけに関しては一流AIエンジニアになった私は、さっそく一つのプロジェクトをスタートした。

 

『合成音声』を吐き出すシステムを作ることだ。


『合成音声』とは簡単に言うと合成された音声だ。簡単に言ってもわからない人のためにさらにわかりやすく言うと、綾瀬はるかの声で『天下布武』、菅田将暉の声で『君のこと、愛してる』などと機械に言わせるシステムのことだ。
多くの人の胸に秘めた壮大な欲望をかなえられる夢の技術なのだ。


私も、自らの邪な欲望のため、『合成音声』システムを作ってみようとしたのだ。

ちなみに、本格的な『合成音声』システムは大企業から小企業まで様々なものが有料で提供されている。
私は本格派だが本格的なシステムを作る技術はない。

そのため唯一得意なコピーアンドペーストを利用して、簡単な『合成音声』システムを作っている。
そして今大量のデータで機械に学習させているプロセスにある。

その最中にシステムが準備のため動いている間に暇になったので最中にブログを立ち上げ駄文を書くという、時間を無駄にしない仕事ができる人間を演出しているわけだ。

 

 

あれ?・・・なんかシステムが止まったぞ?

 

機械でも成績の上がらない受験生のように、勉強途中で『ああ・・・今日はがんばった!!自分へのご褒美にビックウルトラチョコレートサンデーを食べよう!!』などと言うのだろうか。

 

どうも機械の言い分ではチョコレートサンデーが食べたいわけではなく、何か私の行動が気に障ったらしい。
人間である他人を不機嫌にさせ注意されるのは慣れているが、機械をも不機嫌にさせる才能が私にあったとは!!
システムはヒステリックに『ERROR』の文字を吐き出している

 

いかに英語が苦手でAI初心者な私でも『ERROR』の意味くらい知っている。

 

『間違っている』ということだ。


頼むからそのように連呼しないでほしいのだが・・・

 

どうやら、システムを放置しすぎると時間切れで止まるらしい。放置しすぎると機嫌を損ねるのは、ちょうど妻が、題名『今日会社であった、仕事をしない同僚のすごくムカツク態度』を私にプレゼンしているときに、私が生返事を繰り返すと、同僚の批判をしていた妻が私の批判をすることに転じるのとよく似ている。機械にも定期的に『ちゃんと見ている・聞いている』態度を明示的に示す必要があるとは知らなかった。

 

機嫌を直したシステムは再び同じような独り言を繰り返している。2000行を超えて似たようなログを吐いているが飽きないのだろうか。


私なら4秒ごとに『2692段階目、完了』『2693段階目完了』・・・などと、逐次上司に報告するのは、報告すると次の指示が音速で繰り出されるので、嫌なのだが。


それにしても、この定期報告は何回繰り返されれば完了するのだろうか。


スプラッシュマウンテンの待ち行列でもこんなに人は並ばないと思うが。しかもスプラッシュマウンテンの待ち行列は終わりが見えるが、機械の勉強はサハラ砂漠の地平線のように果てしない。

 

あ・・・夜ごはんを作らないと、また怒られる・・・